多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズとは

老眼治療白内障手術で用いられる眼内レンズには、遠方・中間・近方のどこか一つにピントが合う単焦点眼内レンズと、遠方から近方まで広い範囲にピントが合う多焦点眼内レンズがあります。多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズに比べると日常生活における眼鏡への依存をかなり軽減できます。近年では、乱視矯正が可能な多焦点眼内レンズも開発されています。

多焦点眼内レンズ
の見え方

正常な見え方
正常な見え方正常な見え方正常な見え方
正常な見え方白内障の見え方白内障の見え方
正常な見え方多焦点眼内レンズ多焦点眼内レンズ
正常な見え方単焦点眼内レンズ(遠く)単焦点眼内レンズ(遠く)

多焦点眼内レンズ
による白内障手術

眼科山口クリニックでは、日本眼科学会専門医による白内障手術を行っております。眼内レンズは従来からの単焦点眼内レンズ、あるいは幅広い範囲にピントが合う最新の多焦点眼内レンズからお選びいただけます。

当眼科へは尼崎市内外の地域(主に園田駅、塚口駅、武庫之荘駅、神崎川駅など阪急沿線)から日帰り白内障手術のために多くの患者さんが来院されています。

〈各地域からのアクセス方法はこちら〉

老眼治療としての
多焦点眼内レンズ

老眼は加齢によって水晶体の弾力が弱まりピント調節機能が衰えることで近くのものが見えにくくなる現象です。個人差はありますが、一般的に 40歳を過ぎた頃から少しずつ進行していき、60歳前後でほぼ全ての調節機能が失われてしまいます。

老眼は加齢によるものだからとあきらめる方も多くいらっしゃいました。しかし 60歳から70歳の間にどなたでも進行していく白内障に対する手術の際に、遠方から近方まで幅広い範囲にピントが合う多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を用いることで、眼鏡のわずらわしさから解放され快適に日常生活を送ることが可能となりました。

多焦点眼内レンズ
の注意点

多焦点眼内レンズは、その光学的特性に伴うデメリットもあります。

  • 夜間や暗い場所で、街灯や車のライトなどがにじんで見えたり、まぶしく見えたりすることがある。
  • 薄暗い場所で文字などが見えにくいことがあり、細かい文字であれば老眼鏡が必要になることがある。
  • 視力が安定するまでに半年程度の時間を要することがある。

夜間の運転を職業とされる方や、色の濃淡の判別が必要な職業の方には適していません。性格が神経質な方や完璧主義な方には不向きだとも言われます。また目の他の病気(角膜疾患、緑内障、網膜疾患など)のために視機能が低下している方は多焦点眼内レンズの適応から外れる場合があります。

多焦点眼内レンズに伴う
ハロー・グレアについて

光がにじんで見えるハローや強い光をまぶしく感じるグレアという現象は、どの眼内レンズでも同様に起こります。初期の多焦点眼内レンズは遠近にピントを合わせる設計によって、単焦点眼内レンズと比べるとハロー・グレアが強く起こりやすいと言われていました。テクニスシナジーはレンズの構造から紫波長の光をカットすることでハロー・グレアを抑えられる工夫が施されています。ハロー・グレアの症状には個人差がありますが、だいたい3ヵ月程で慣れていくことが多いと言われています。

ハローグレア

多焦点眼内レンズ
を希望される方へ

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術をおこなっても、若い頃の目のようにあらゆる距離にピントを合わせることができるわけではありません。眼鏡をかけることに抵抗がないのであれば、単焦点眼内レンズの方が良い場合もあります。
多焦点眼内レンズのメリットとデメリットをよく理解していただいた上で、手術を受けていただくことが大事です。

多焦点眼内レンズの種類

名前 近方 中間 遠方 乱視
矯正
ハロー
グレア
得意な見え方
と作業
費用(税込)
【片眼】
クラレオンパンオプティクス
40cm

60cm
あり 少ない 運転、PC
より遠方を重視
33.0万
乱視用 38.5万
テクニスオデッセイ


37cm

あり 少ない 運転・PC・読書
遠中近万遍なく
33.0万
乱視用 38.5万
クラレオンビビティ
50cm
なし 極少ない 夜間の運転
手元は老眼鏡
33.0万

クラレオン
パンオプティクス

クラレオンパンオプティクス日本で以前に承認された多焦点眼内レンズは、主に遠くと近くの2つの焦点に焦点を合わせるものでした。クラレオンパンオプティクスの3焦点眼内レンズは遠方と近方に加え、中間距離にも焦点を合わせることができるという点で革新的であり、当院で最も多く使用経験のある多焦点眼内レンズです。このレンズの最大の利点は、日常生活でよく使われる約60㎝の中距離、特にパソコン作業に最適な加入度数を提供することにあります。これにより、オフィスワークやスマートフォンの使用、テレビ鑑賞、料理、運転、スポーツなど、現代生活の多様なシーンに適応し、生活の質(QOL)を高めることが可能になります。

クラレオンパンオプティクスの構造

AcrySof IQ PanOptix TrifocalおよびPanOptix Trifocalトーリックは、白内障手術後の視力回復において、見え方の質を高め、生活の質(QOL:Quality of Life)の向上に貢献します。


術後長期に渡る透明性と安定性の追求

安定性の追求-軸方向偏位

軸方向偏位を35℃の脱イオン水中で測定し、各圧縮径(11.0mm、10.5mm、10.0mm、9.5mm、9.0mm)における測定結果を示しています。

透明度の追求-表面ヘイズ抑制

スリットランプを使用し、倍率1.6倍、BSS中・室温30℃で48時間後の状態を評価しました。キャプチャー画像は、中央3mmの光学部内における前後面を対象に、19ピクセルの幅で測定されたぷくセル強度(0〜244の範囲)を用いて、IOL前後面のヘイズ強度の平均値を算出しています。
クラレオンパンオプティクスは、他社の多焦点眼内レンズと比較して、5製品中4製品で表面ヘイズ強度において統計的に有意な差(p<0.001)を示し、他社製品Cとは同等の結果となりました。

クラレオンパンオプティクスの特徴

  • 国内初承認の3焦点眼内レンズです。
  • 従来のレンズより光学的欠損が少ないため、明るくクリアな視界が期待できます。
  • レンズの構造により、照明条件の変化による見え方の影響が少なくなっています。
  • 後発白内障の発症リスクが軽減されています。
  • 乱視矯正にも対応しています。
  • グリスニングの抑制

グリスニングとは

「グリスニング(glistening)」とは、眼内レンズ(IOL:Intraocular Lens)の素材内部に形成される微細な水分の小さな泡(マイクロボイド)のことを指します。これは特にアクリル製の眼内レンズで報告される現象です。発生する原因は、眼内レンズが水分を吸収し、それがレンズ内で微細な液滴として集まって光を散乱させるためです。

デルタTと呼ばれるマイクロバキュラスのベンチテストを用いて、眼内レンズ(IOL)内部におけるグリスニングの形成を評価しました。デルタTは、異なる温度の水にレンズを繰り返し浸漬することで、IOL内にグリスニングの形成を誘発させる試験方法です。クラレオン パンオプティクスは、他社製の多焦点眼内レンズと比較して、5製品中3製品において最大グリスニング密度で統計的に有意な差(p<0.05)を示しました。

 

テクニスオデッセイ

テクニスオデッセイジョンソンアンドジョンソンビジョン社が開発したテクニスオデッセイは、「テクニス シナジー」の後継となる最新の多焦点眼内レンズです。日本では2024年末頃より使用が開始されています。従来の多焦点レンズで見られたコントラスト低下や夜間のハロー・グレアといった課題を改善し、遠方から近方まで連続して自然にピントが合いやすい設計が特長です。昼夜を問わずクリアな見え方が期待でき、読書やパソコン作業、運転や屋外活動など、さまざまなシーンで快適な視界を提供します。

テクニスオデッセイの構造

従来の多焦点レンズでは、焦点が分かれているためピントの切り替えに違和感が生じることがありましたが、

テクニスオデッセイは、表面がよりなめらかな形状となっており、遠くから近くへの視線移動がスムーズになります。そのため、どの距離でも自然に焦点を合わせやすく、視覚的なストレスが軽減されます。

この構造により、遠方・中間・近方すべての距離に対して連続的にピントを合わせることが可能になっています。

また、光を効率的に集めて分配する工夫が施されており、明暗のはっきりとした見え方(コントラスト感度)を維持しながら、光のロスを最小限に抑える設計になっています

テクニスオデッセイの構造

テクニスオデッセイの特徴

  • 連続焦点型設計で、幅広い距離にピントが合いやすく、遠くから近くまで自然に見える
  • レンズ表面がなめらかに設計され、夜間の光のにじみが少ない。(ハロー・グレアの発生を軽減)
  • 明るさや色の鮮明さを維持し、暗い場所でも見えやすくコントラスト感度が高い
  • ChromAlignテクノロジーで色のズレを補正し、クリアな視界を実現。色にじみ(色収差)を抑えます。
  • ピントの合う範囲が広く、術後の屈折誤差の影響を受けにくい。術後のズレが起こりにくい。

[コントラスト感度について]

テクニスオデッセイの特徴
テクニスオデッセイの特徴

[色収差について]

テクニスオデッセイの特徴

クラレオンビビティ

クラレオンビビティクラレオンビビティは最先端の波面制御型焦点深度拡張(EDOF)多焦点眼内レンズで、2020年からアメリカでの販売と使用が開始されていましたが、2023年に日本でも認可を得ることができました。クラレオンビビティは回折構造を持たないため、回折型レンズの弱点であったコントラスト感度の低下が解消され、コントラスト感度は単焦点眼内レンズとほぼ同等と言われています。また術後のハロー・グレアも大幅に軽減されています。

クラレオンビビティの特徴

  • 遠方から中間までと実用的な近距離まで連続した見え方を得ることができます。
  • コントラスト感度が単焦点眼内レンズとほぼ同等と言われています。
  • ハローグレアが大幅に軽減されています。
  • 乱視矯正には対応しておりませんのでご注意ください。

選定療養について

選定療養は治療を受ける患者さんが追加費用をお支払いすることで、保険適応外の治療を保険適用の治療と併用して受けることができる制度です。
多焦点眼内レンズを使用した白内障手術においても、2020年4月からこの制度を利用することが可能となりました。従来は全額自己負担となっていた多焦点眼内レンズの手術ですが、手術自体は単焦点眼内レンズの時と同様に保険適応内で受けることができます。患者さんがお選びいただいた多焦点眼内レンズの費用と追加で行う検査は保険適応外の自費となります。当眼科は多焦点眼内レンズの白内障手術を行う選定療養施設基準を満たしているため、この制度をご利用いただけます。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

選定療養について

高額療養費制度
と医療費控除

高額療養費制度

同一月(月初から月末まで)に高額な医療費の自己負担が必要になった場合に、自己負担限度額を超えた分の医療費を公的医療保険から払い戻しされる制度であり、限度額は年齢や所得に応じて定められています。
選定療養にて多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を受けられた場合、保険適応の白内障手術代金の自己負担額は該当しますが、追加負担した多焦点眼内レンズの治療費は該当しません。

医療費控除

1/1~12/31までの1年間に、本人や同一生計の家族が医療費を支払った場合、一定の金額を所得から差し引く制度です。医療費控除の対象は保険適応外の医療費も含まれます。所得税が軽減される制度で、多くの場合は医療費が10万円を超えると利用できます。また高額療養費として支給を受けた金額は除かれます。選定療養にて多焦点眼内レンズを選択した追加代金も対象となります。

尼崎市内・市外からの
アクセス

電車でお越しの方

尼崎市内および尼崎市外阪急沿線
(塚口駅、武庫之荘駅、神崎川駅など)
→阪急神戸線にて〔阪急園田駅〕下車

バスでお越しの方

尼崎市内より

尼崎市外より

車や自転車でお越しの方

当院には専用駐車場・駐輪場はございません。近隣の民間駐車場・駐輪場を自己負担にてご利用ください。

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